芦ノ湖に店を構える寄木細工専門店 寄木細工うちはら

寄木細工うちはら
 

匠

箱根といえば寄木細工が有名ですが、ここでは古くから木製品を作ってきた
この地方に伝わる素晴らしい技術を持った職人達をご紹介します。

自然の木の色を使い、それらをはめ込んで
絵を作る技法を木象嵌といいます。
明治時代に木工足踏みミシンが輸入されたのを機に
始まり、約100年の歴史がある伝統工芸品です。
糸鋸ミシンを足で踏み、針を上下に動かしながら、
下絵にそって切り取っていきます。切り取った木片を
キャンパスとなる板に写し描き、同様に切り取り、
開いたところへ最初の木片をはめ込みます。それを
繰り返し、一枚の絵にしていきます。出来上がった
木画は薄く削られ、板に貼り、額装され完成です。

箱根木象嵌 高橋貞雄

箱根木象嵌 高橋貞雄

沢山の木の色を使い、模様が複雑になる程、高度な技術が必要
とされます。細かい作業には、それぞれ細さの違う針を使うため、
貞さんは糸鋸の針も手作りされるそうです。   
木目を生かした図案や遠近感、輪郭の細い線や風を感じる風景、
動物の愛らしい表情など、貞さんの作品は、近づいて見ても
木を嵌めているとは思えない程、精密に出来ています。
木象嵌士は、下絵にそって木を切り取っていく職人技はもちろん
構図を考え下絵を描く技術がなければいけないのです。    
貞さんは実は、優れた画家でもあるのです。
富士山や写楽など古典的な美しい作品も魅力ですが、貞さん
オリジナルデザインの動物のかわいらしい作品も人気が高く、
新作を心待ちにするファンの方も多いのです。
高橋貞雄さんは、98年 労働省認定の寄木細工技能士・
木象嵌師として認定されています。


江戸時代より土産物とされていた、挽物細工をご存知でしょうか。
ろくろを回しながら、牛と呼ばれる支え台でのみを支え、職人の勘だけを頼りに木を削っていきます。こまなどの玩具が有名ですが、その挽物細工の技の頂点とも言えるのが入子細工です。

箱根入子細工 田中一幸

箱根入子細工 田中一幸

ロシアのマトリョーシカのルーツとも言われているこの細工は、
上下が分かれるようになっていて、中を開けると一回り小さな細工が
が出てきます。その中にまた一回り小さな細工が入ってと、徐々に
小さくなり、入子になっていくという精巧な作りです。
田中さんの作品は
最後に打ち出のこづちが出てくる縁起の良い「七福神」
色々な表情のかわいらしい達磨7個からなる「達磨」
カラフルな卵が12個入子になっている「十二卵」などがあります。
十二卵など、卵のからの薄さに木を挽いて作るのです。
最初に小さな卵から作り、作った卵のサイズに合わせて、
次の卵の上部分と下部分を削っていくという、神経をつかう
気が遠くなるような作業を繰り返します。
削り具合を見極めるのは、60年余り作り続けてこられた田中さんの勘
によるもので、まさに匠の技といえます。
上と下を合わせる合口部分を削る時が一番気を使うそうです。
サンドペーパーで整え、一つずつ色をつけて、カルナバという
固形ワックスを塗り、仕上げます。
田中さんの作品は、とても精巧に出来ているのに、どこか愛らしく、
手にとってみたくなる親しみやすさが魅力です。
現在、この入子細工を作る職人は田中さんお一人となってしまい
ましたが、今も箱根湯本にある工房で作り続けておられます。


室町時代中期箱根山の豊富な木材を使い、木地挽きされた器に漆を塗ったのが、小田原漆器の始まりと言われています。
江戸時代には、庶民の生活用具や土産品となり、技術が確立され、昭和59年には、「伝統的工芸品」に指定されています。
特徴は、国産のけやきなどをろくろで形作り、木目の美しさを生かし、透明な生漆を何度もすり込み仕上げていくところです。磨きあげられた作品は、どれもつややかに光り、漆を塗ることで、耐水性や抗菌性、防腐性にも優れているそうです。

小田原漆器 大川和美

小田原漆器 大川和美

大川さんの茶筒やなつめは、ろくろを使い、木をくり抜いて作ります。
その茶筒は密閉性がある上、丸い形で回し開けられるため開けやすく、上蓋を乗せると重みでスッーと落ちていきます。それは精巧に作られた証と言えます。
木の性質を熟知し、削る頃合を見極める勘など、まさに長年培ってこられた職人技と言えます。塗りの厚みも考慮し、少し緩めに仕上げて完成です。

また驚く事に、大川さんは鍛冶屋のように、道具をご自分で、鉄の棒から作ってしまうのです。
「この作業ができないと、ろくろ職人にはなれないんだよ」とお話して下さいました。納得のいく形にするためには、道具にこだわり、それを自ら作ることが必要なのだと思いました。
大川さんは、平成3年に伝統工芸士に認定されています。


  

一瞬で一つのものを作り上げていく、職人さん達の仕事の早さや集中力は、緊張感があり、同時に仕事に対する厳しさも教えて頂きました。
ご紹介した匠は、ろくろや糸鋸など、刃物を使った危険を伴う作業をされておりますので、基本的に個人の方の見学は行っておりません。ご了承下さい。
沢山の方に手にとって頂けるよう考えられた価格や使いやすさは、お客様からの様々な意見を取り入れた柔軟な考えからできています。
どうぞ興味を持たれた方は、その作品を手にとってみて下さい。日本の匠の手仕事を、多くの方に知って頂きたいと思っております。